予熱調理は料理を美味しく、それでいて簡単に仕上げられる調理法です。今回は、余熱調理の方法や具体的な調理例を踏まえつつ解説していきます。
余熱調理とは
余熱調理とは調理に使用していた火を止め、調理器具や、器、食材に残った熱だけを利用する調理法です。 「予熱」という同じ読みの言葉があり混同されがちですが、これはあらかじめオーブンやグリルを熱しておくという、まったく違う意味になります。 煮込み料理などによく用いられ難しいイメージがありますが、実はとても簡単に行える調理法です。 たとえば、沸騰して火を止めた後のお湯を使う、カップ麺も実は余熱調理の一種なのです。
余熱調理の効果
食材に味が染み込むのは、熱されているときではなく「温度が下がるとき」であることをご存知でしょうか。 多くの煮込み料理で沸騰してから火を止め、鍋に蓋をして熱を逃がさないようにしてくのは、熱を下げることで食材に味が染み渡らせるためでもあるのです。厚手の鍋であれば熱が逃げにくく、よりじんわりと染み渡るでしょう。 卵料理や蒸し煮は余熱が通ることによって焦げ付きにくくなり、食感もふっくらとした仕上がりになります。 加熱時間が少なくなるので、電気やガス代の節約にもなり、火災の危険性もありません。多少目を離しても大丈夫なのが嬉しいポイントです。他の料理と同時進行できるので、忙しいときにも助かりますね。
余熱調理の方法
沸騰した鍋に卵を入れておけば、20分程で固ゆで卵が出来上がります。麺類ならばかき混ぜながら沸騰させ、火を止めて蓋をするだけでも茹で上がります。 火を止めて普通の鍋を放置するだけでも立派な余熱調理といえますが、より効果的で効率のよい方法がたくさんあります。 まず、時短にも節約にもなると話題の保温調理鍋(真空保温調理器)といった、余熱調理に特化した調理器具を使えば失敗のリスクも少なく美味しい料理ができるでしょう。 しかし、こういった製品はそれなり高額です。もう少し安く済ませたいという方には、厚手の土鍋を使うのもおすすめです。 鍋をタオルで包むだけでも十分な効果があり、鍋用のタオルも製品化されています。意外かもしれませんがこたつの中など、保温性の高い場所に鍋を置くのも有効です。 また、アルミホイルも保温性が高いので余熱調理に用いられることがあります。表面を焼いた肉をアルミホイルで包めば、内側にじんわりと熱が行き渡ります。こうすると肉汁が逃げずに柔らかく仕上がるのです。 アウトドア派の方にはおなじみの万能なダッチオーブンも、密閉性が高く余熱調理に適しています。煮る、焼く、蒸す、さらには揚げるまで、一つあればさまざまな調理ができるとても便利なものです。家庭で使えるサイズもあるのでぜひ試してみてください。
余熱調理のメニュー
余熱調理でできる代表的なメニューをご紹介します。
おでん
具材に出汁が染みれば染みるほど美味しいおでんは、まさに余熱調理でじんわりと仕上げたい料理です。 大根に竹串がやっと刺さるくらいになったら、あとは火を止め余熱に任せましょう。
ローストビーフ
難しいイメージがありますが、アルミホイルを使った余熱調理なら手軽に作れます。 フライパンで表面を焼いた後、アルミホイルで包んでおけばじっくりと内側に熱が通っていきます。ジューシーで柔らかく、ほんのりと赤みがかった断面が食欲をそそります。
蒸し鶏
パサつきやすい鶏胸肉も、余熱調理ならしっとりと仕上がります。 下味を付けた鶏肉をラップで包んで沸騰したお湯に入れて蓋をするだけでOKです。味が中まで染み渡る上、肉の旨味も逃がしません。
タイカレー
ハーブや発酵調味料を使った独特の風味があります。カフェライムリーフ(こぶみかんの葉)やレモングラス、ナンプラーがその代表です。それらハーブの調合で決まる「グリーンカレー」や「レッドカレー」が有名です。
カレー
じっくり煮込むイメージが強いカレーも、余熱調理が可能な料理です。 具材を炒めてから、鍋に蓋をして熱します。沸騰したらルーとジャガイモを入れ、少しの間煮込んでから火を止め、1時間~2位時間放置します。じゃがいもに火が通ったら完成です。
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