料理には欠かせない塩には、様々な種類があります。ヒマラヤ岩塩などの言葉を耳にする機会は多いけれど、どんなものか分からないという方も多いのではないでしょうか。この記事では普段よく使われる海水塩と、岩塩のそれぞれの特徴を紹介していきます。
海水塩
読んで字のごとく、海水から採取された塩のことです。カリウム、マグネシウム、カルシウムといったミネラル成分が豊富に含まれています。四方を海に囲まれた日本では、最もポピュラーな塩ですが、海水塩の中にも種類があります。
せんごう塩
海水を煮詰めて作られた塩で、日本では古くから一般的な方法として知られています。
天日塩
海から採取した塩を、日光と風の力によって水分を蒸発させる方法です。雨や湿気が多い日本では一般的ではない方法で、手間がかかり、市場に出回っている数も少ないので、高価な商品もあります。
逆に乾燥した気候のオーストラリア、ヨーロッパ、メキシコなどでは一般的な方法で、大規模な塩田があります。
精製塩
海水を電気分解して、濃い塩水にした後、煮詰めて結晶化した塩です。広く流通している食卓塩がこれに当たります。
大量生産されているため、安価で品質が均一化されています。99%以上の成分が塩化ナトリウムで構成されていて、ミネラル成分はほとんど含まれていません。
岩塩
かつて海であった場所の塩分が結晶化して地層になったもので、海水の化石ともいえます。日本ではほとんど採れないため、高級なイメージがありますが、実は世界的には岩塩の方が広く使われています。
採取される土地の影響が色や成分などに強く反映され、世界各地にさまざまな岩塩があります。特にアンデス、ヒマラヤが生産地として有名です。海水塩より塩辛いけれど、丸みのある味わいで素材の旨味を引き立てます。
料理での使い分け
ここでは、料理に使用する際の使い分けについてご紹介します。
万能な海水塩
日本の家庭で一般的に使われている海水塩は、水に溶けやすく味がなじみやすいので、どんな料理にでも使いやすいというメリットがあります。 コクのある味わいは様々な食材との相性がよく、特にせんごう塩は、調理中でも、調理後でも自然に味を調えてくれます。また、天日塩には食材の風味を引き立てる効果があり、粒の細かさは下味としての使用に適しています。
豊富なミネラル成分は、その割合によっても味が変わってきます。カルシウムが多いと甘味、カリウムが多いと酸味、マグネシウムが強いと苦味が強くなるので、いろいろな塩を試してみるのも面白いかもしれません。
カルシウムならイカ刺し、マグネシウムならてんぷらや白身魚、カリウムなら野菜などが合うでしょう。
主張が強いけれど素材をしっかり活かす岩塩
粒が大きいため、結晶を粉砕する道具であるミルが必要になるでしょう。ミルが無い場合はおろし金ですりおろす、または二つの岩塩をこすり合わせるなどの方法で細かくできます。 大きい粒は、水に溶けにくい点も注意が必要です。 調味料として使用する場合は味がなじみにくくなってしまいます。塩味を感じず、入れすぎてしまうということもあるので、気をつけましょう。
料理に使用する際は、粒の大きさをメリットとして活かせるものがよいでしょう。蒸し料理や生魚、グリル料理など、ダイレクトに食材を味わえるメニューがおすすめです。 ただし、肉を焼く前の振り塩には向いていません。生の肉に塩を振ると、余計な水分を引き出し引き締めてくれますが、粒の大きな岩塩では、その効果がほとんどありません。焼いた後に、最後の仕上げとして使用すれば、肉の旨味と塩粒の主張が共存する、しっかりとした味付けが楽しめます。
日本では採れない岩塩ですが、実は代表的な日本食である、おにぎりにも合います。素材の旨味を引き立てるという意味では、まさにうってつけの食べ物で、米の甘味を存分に引き立ててくれます。水に溶けにくいので、あらかじめお湯で溶かして塩水を作っておくのがポイントです。
一口に塩といってもさまざまなものがあります。一度に大量に摂取するものではありませんが、料理の基本となるもので、塩の種類が違うだけで料理の味も大きく異なってきます。様々な塩を試してみるのも、面白いかもしれません。
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