卒業生のお店を取材!

イタリア料理 tóto

料理だけでなく空間も楽しめるイタリア料理屋

料理だけでなく空間も楽しめるイタリア料理屋

本校の卒業生 大林さんがシェフを務める「イタリア料理 tóto」は、料理と空間を通じてお客様が日々の疲れを忘れ、癒やしの時間を過ごせる場を提供しています。地元にお住いの方やお仕事帰りのビジネスマンの方が多く立ち寄るイタリア料理屋です。

2023年11月時点での取材内容です。

織田調理師専門学校の調理師学科卒業生のお店の外観

お店は、JR中央線 中野駅の南口から徒歩1分を進んだところにある、通称「レンガ坂」にあります。3階に位置することもあり、通りの賑わいを眺めながらも静かに料理とワインを楽しむことができます。

織田調理師専門学校の調理師学科卒業生のお店の内観

厨房はオープンキッチンになっていて、シェフやスタッフが調理している様子を間近で見られます。美味しい料理をいただくだけでなく、ライブ感を楽しめるのも「tóto」の大きな魅力です。

シェフ紹介

織田調理師専門学校の調理師学科卒業生の大林さん
大林 裕樹さん

本校の調理師科を2012年3月に卒業。ホテルやイタリア料理屋での修業期間を経て、2023年にご友人であるオーナーと共同経営の形で、ご自身とゆかりのある中野に「tóto」をオープン。

「季節感を感じられる料理と、ご家庭の次に落ち着ける場所」

―― お店のコンセプトを教えてください。

大林さん イタリア料理をベースに、旬の食材をふんだんに使い、和のエッセンスも加えた料理を提供しています。また、料理だけでなく、空間も含めて、お客様にとっての肩の荷を下ろしていただける場所にしようと努めています。

―― 旬の食材を使うことで、日本料理のような四季を感じられる料理に仕上げているのですね。

織田調理師専門学校の調理師学科卒業生のお店で仕入れている野菜色とりどりの野菜はどれもこだわりの農家から直送

大林さん そうですね。イタリア料理屋ではありますが、季節を感じられるという点で、肉料理と同等かそれ以上に魚を推しています。例えば、冬ならぶりを仕入れてメニューに組み込んで、イタリア料理の調理方法で作り上げます。使用する野菜も、繋がりのある日本の生産者さんから旬の食材を直送していただいていますね。日本らしい食材をイタリア料理として再構築するようなイメージです。

織田調理師専門学校の調理師学科卒業生のお店のカルパッチョ
「高知 イサキの炙りカルパッチョと茄子の揚げ浸し、自家製いくら、すだちのジュレ」
イサキは香ばしさと弾力を同時に楽しめる絶妙な炙り具合。茄子にはレモンとオリーブオイルが染みていて爽やかな口当たり。自家製いくらとすだちのジュレは、料理本来の香りや旨みを維持しつつ味を変えてくれる。

―― 空間という部分ですと、お店の広さに対して席数が少ない印象を持ちました。

織田調理師専門学校の調理師学科卒業生のお店のテーブル席ゆとりをもって料理を並べられるテーブル

大林さん 実はそこにも理由がありまして、席数を絞っていることで、ゆとりを持ってお客様に食事いただけるんですね。お客様のお一人おひとりがリラックスできる空間を目指して、十分な大きさのテーブルやカウンターを大工さんに特注で作っていただいています。ご来店されたお客様にとって、「また明日からも頑張ろう」と思ってもらえる場所になっていたら嬉しいですね。

「温度と薬味。お客様がどう召し上がるかをイメージして作る一皿」

織田調理師専門学校の調理師学科卒業生のお店のメニュー表食材の旬に合わせて少しずつ入れ替わっていくメニュー

―― お料理のこだわりについてもっとお聞きしたいです。メニューを考える際にこだわっていることは何でしょうか?

大林さん お店のコンセプトにもある季節感のある食材をこだわりの産地や農家から仕入れるということ。その他にも料理の温度や薬味という部分も意識しています。

織田調理師専門学校の調理師学科卒業生のお店の寒鰤のレア焼き
「高知 寒鰤のレア焼きとカリフラワーのムース、紅かぶの甘酢漬け」
旬の寒鰤には甘い脂がよく乗っていて口に入れた瞬間に溶け始める。それでいて、ムースや甘酢漬けといただくことで、すっきりした後味に。また、ムースはチャバタにつけるとカリフラワーの優しい甘みを感じられる。

―― 温度というと、冷たい料理と温かい料理がありますが、それだけではないと。

大林さん はい。例えば、カルパッチョは一般的なイメージでいうと冷たい料理のカテゴリーです。でも、魚の種類や時期によっては脂の乗りが全然違います。冷たくしすぎると脂が固まって香りや甘さを感じにくくなりますし、逆に温かいとカルパッチョとしては違和感がありますよね。でも、ベストな温度というのはちゃんとあって、そこを狙って食材を調理したり、お皿の温度で調節したりして一番美味しく召し上がれるようにしています。

織田調理師専門学校の調理師学科卒業生のお店のチャバタ
「自家製チャバタ、サン・ジュリアーノ オリーブオイル」
tótoの料理を美味しく食べるために毎日焼かれている自家製のチャバタ。オリーブオイルやバターを練り込んでいないので、料理に添えられたソースやオリーブオイルの味と香りがダイレクトに。

―― なるほど。すごく科学的な視点で、お客様の口に入ったときまでを想定されているのですね。そして、イタリア料理で薬味というのが意外に感じました。

大林さん そうですね。まさに和のエッセンスを感じられる部分です。調理法はイタリア料理ですが、ネギや大葉、すだちやみょうがなどの日本的な薬味を添えることで、一皿で色んな味を楽しむことができます。また、いくらや柚子胡椒など加工が必要な薬味もありますが、すべて自家製です。既製品だと、料理と合わせたときに求めている味にはならないんですよね。

織田調理師専門学校の調理師学科卒業生のお店の煮込み
「牛タンと大山鶏、野菜の軽い煮込み、自家製の柚子胡椒アクセント」

牛タンは繊維がくずれるギリギリまで煮込まれていて、ナイフで切ると間もなくほどけてしまう柔らかさ。鶏には程よい弾力。スープはそれぞれの肉汁がぶつかることなく、柚子胡椒を加えてもしっかりまとまった味に。

「もどかしい情勢の中で、0から形にしたこだわりのお店」

―― お店をオープンする前はどのようなキャリアを積まれていたのでしょうか?

大林さん 織田調理卒業と同時にまずはホテルで西洋料理部門を担当していました。ホテルもやりがいのある仕事ではありましたが、イタリア料理に専念したかったことと、直接お客様の笑顔が見られて、ご感想をいただける環境を求めて、その後イタリア料理専門店に転職しました。そこで、今でも慕っている憧れの師匠との出会いもありました。

織田調理師専門学校の調理師学科卒業生のお店のタリオリーニ
「手打ちタリオリーニ 高知 真ハタと九条葱のアーリオオーリオ 黄柚子」
手打ちのパスタはもちもちの食感で、ハタの甘い脂が溶け出した濃厚なソースによく絡まり、一口で食べ応えを感じるほど。薬味として添えられた黄柚子が柑橘の香りを、生の葱が苦みを加え、2重にも3重にも楽しめる一皿。

―― ホテルだと西洋料理という括りで幅広い料理に携わることになるので、そこが専門店との違いですよね。そして今ではお店を持たれていますが、お店を立ち上げる決断に至ったきっかけは何だったのでしょう?

大林さん コロナ禍がきっかけでした。通常の営業はできないのに、お給料だけはいただけるという状況が続きまして。でも、自分はやっぱり料理が好きなので、そういうもどかしさの中で、何かやりたいという気持ちが大きくなっていったんですね。そんなとき、飲食店を開きたいという友人からちょうど相談を受け、2年間かけて一緒に物件探しからコンセプト、内装やレイアウトなどを詰めていき、ようやくオープンに至りました。

織田調理師専門学校の調理師学科卒業生のお店の牛のロースト
「北海道 交雑牛のロースト、マルサラ酒とフォンドヴォーのソース」
肉々しさを感じられるランプの赤身をレアで。付け合わせのごぼうと里芋のソテーはほくほくの食感。自家製のフォンドヴォーとマルサラ酒を合わせたソースは甘塩っぱく深いコクがある。肉とも野菜とも相性抜群。添えられた生の塩と焙煎されていない胡椒は香り高く、味を変化させられる。

―― お話を聞いていて「お店をオープンする」というのは、思いがけないタイミングで訪れるものなのかなと感じました。

織田調理師専門学校の調理師学科卒業生のお店のキッチンの様子

大林さん そうですね。コロナ禍が無ければ、また今の状況とは異なっていたかもしれませんし、お店を開くにしてもこんなに母校から近い場所ではなかったかもしれません。出身高校もこの中野にありまして、織田調理の先生だけでなく、高校時代の先生にも足を運んでもらえるのが嬉しいですね。

 

イタリア料理 tóto

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