料理に大切な要素とは何でしょうか。栄養、鮮度、盛り付け、色合い、食感、香り、味など、挙げるとキリがありません。今回はその中の1つ、「味」についてご説明しています。5種類に大きく分類される味のうち、「うま味」を中心に、「味の基本」を見ていきましょう。まず、「基本五味」とも呼ばれる5種類の味について、それぞれの味に多く含まれる主成分やおもな食品、特徴などを簡単に整理していきます。
甘味、塩味、酸味、苦味について
甘味のおもな成分はショ糖、果糖、ブドウ糖などです。エネルギー源となるため、仕事や勉強などで疲労がたまっているときなどには、ひときわおいしく感じられます。
塩味のおもな成分は食塩です。いわずと知れた調味料で、塩味があってこそ魚や肉、野菜をはじめ、ほぼすべての素材をおいしく食べられる食材へと変化させてくれます。
酸味のおもな成分は、酢酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸などです。かんきつ類の果物やリンゴ、ヨーグルトなど、おいしさと同時にさわやかさをも感じさせてくれる食べ物が多いです。
苦味のおもな成分はカフェイン、リモネイドなどです。コーヒーやビール、ゴーヤなど、大人向きの味わいを特徴とする食品にたくさん含まれています。
うま味とは
基本五味の中で、やや聞きなれないのが「うま味」ではないでしょうか。うま味に含まれる成分はいくつかありますが、おもなものとしてはグルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸などが挙げられます。数多くの身近な食品に含まれるうま味物質ですが、中でも、特にグルタミン酸の含有量が多い代表的な食品としては、こんぶ、チーズ、しょうゆ、みそ、トマトなどがあります。
こんぶなどに含まれるグルタミン酸、かつお節などに含まれるイノシン酸、そして干ししいたけなどに含まれるグアニル酸などのうま味物質。伝統的な和食料理の具材やだしに欠かせないものばかりです。もちろん、うま味は日本国内のみならず海外の多くの国々で活用され、食されています。
例えば、うま味物質を多く含むトマトはサラダなどでおなじみですが、調味料としても大活躍しています。イギリス発のウスターソース、チリソース、イタリア料理などに欠かせないトマトソースなどの原料として、幅広く用いられています。
味の相互作用
複数の味を合わせることにより「味の相互作用」が生まれます。その結果、味覚が数倍も強くなったり、または弱くなったりすることがあります。つまり、この相互作用を利用することで、特定の味に強弱をつけることができるわけです。
対比効果
2種類以上の異なる味が混ざり合うことで、一方の味覚が強められる効果です。
和菓子やパンなどに使用される餡では、甘味に対する味覚を強めるために塩が利用されます。
抑制効果
2種類以上の異なる味が混ざり合うことで、どちらか一方、あるいは両方の味を弱める効果です。
イチゴやレモンなど酸っぱい果物に砂糖やシロップをかけたり、コーヒーに砂糖を入れて飲んだりするのは、酸味や苦味を抑える効果があるからです。
相乗効果
2種類以上の同じ味が混ざり合うことで、味覚が数倍も強くなることがあります。例えば、和風の料理には欠かすことのできない、こんぶとかつお節の合わせだしなどが有名です。こんぶのグルタミン酸とかつお節のイノシン酸をかけ合わせることにより、味の相乗効果が生じます。それぞれ単独で味わった場合と比較すると、味にコクや深みがより強く感じられるとされています。
このような複数のうま味の相乗効果は、身近な料理で活用されています。肉じゃがや筑前煮のおいしさのヒミツもここにあるわけです。ピザやサラダで、トマトとベーコンが一緒に使われていることが多いのも同様の理由からです。
料理をする際は、説明してきた味の基本やうま味を意識して、おいしい食材の組み合わせを見つけてみてください。
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