料理人になるために必須な資格はありませんが、もしあなたがレストランや食堂などの飲食店を開業したいと考えるなら、その時は「飲食店営業許可」を取得することが必須となります。
飲食店として、都道府県知事の指定する施設基準を満たし、衛生面と管理面が保証されてはじめて、「飲食店営業許可」が下り、お店をオープンすることができます。
尚、専門家でなくても申請は可能です。
ここでは、営業許可を得るための条件と手続の流れを説明します。
飲食店営業許可を取得するには
飲食店営業許可は、飲食店を開業する地域の「保健所」に申請します。
審査基準は地域ごとに若干違うところがあるため、複数の店舗をいくつかの地域にチェーン展開するときも、各店舗の管轄地域となる保健所へ申請する必要があります。
大枠にはなりますが、以下は保健所が審査する項目です。
【営業内容】メニュー内容・販売方法 等
【施設内容】店内や厨房の素材・広さ・設備 等
【衛生環境】手洗いの位置、流しの数、衛生責任者の有無 等
【その他】過去の違反・取り消しの有無 等
このように、審査項目は多岐に渡るので、開業を考えたときは、まず保健所へ相談に行くのが良いでしょう。
飲食店営業許可で開業できるお店とできないお店
「食品衛生法」によれば、食分野に関連する業種は、「調理業」、「製造業」、「処理業」、「販売業」、の4つに分かれます。
飲食店は、「食品を調理して販売する。施設内で食べさせる」という業務内容なので、このうちの「調理業」に分類され、飲食店営業許可を取得すれば開業が可能です。
ただ、メニューや販売方法によっては、調理業の範囲に収まっていないと見なされる場合もあり、そうなると飲食店営業許可だけでは開業できないといったケースもあります。
〇飲食店営業許可で開業可能
飲食店、喫茶店、お弁当屋、パン屋(一部)、バー(一部)、居酒屋 等
×飲食店営業許可だけでは開業不可能
肉屋、魚屋、菓子屋、ベーカリーカフェ、風俗営業に該当する店 等
「調理業」の範囲を超えるケース一覧
・「調理業」と「製造業」の組み合わせ
店内でパンを製造し、イートインだけでなくテイクアウトでも販売する場合
→「飲食店営業許可」に加えて、「菓子製造業許可」を要します
・「調理業」と「販売業」の組み合わせ
店内で提供している料理を、テイクアウト販売する場合
→「飲食店営業許可」に加えて、「食品等販売業許可」を要します
・通常の「調理業」の範囲を超える
深夜0時を越えて、アルコール飲料を出す場合
→「飲食店営業許可」に加えて、「深夜における酒類提供飲食店営業開始届」を要します
・「調理業」と「風営法」の組み合わせ
業務内容が接待のみの、女性あるいは男性スタッフを雇う
→「飲食店営業許可」に加えて、「風営法」の許可を要します
他にも、特殊な資格や届け出を要する事柄に、ふぐや生食用肉の取り扱い等があります。
意外に思われるかもしれませんが、普段から親しみのある「サンドイッチ」も、自治体によっては「飲食店営業許可」だけでなく、「菓子製造業許可」を要する場合もあるので注意が必要です。
以上を踏まえると、やはり早い段階から保健所に行って、自分の開業したいお店について相談した方が、間違いは無さそうです。
深夜に酒類を提供することを禁止している地域もありますので、そのようなお店を営業したい場合には十分な注意が必要になってきます。
飲食店営業許可取得の手続きの手順
a. 保健所との事前協議
自身が開業したいお店について相談し、営業許可申請の準備をします
b. 営業許可申請(書類提出)
原則として、以下の書類と手数料を提出します。
1. 営業許可申請書
2. 営業設備の大要・配置図
3. 許可申請手数料
4. 登記事項証明書(法人の場合)
5. 水質検査成績書(受水槽・井戸水を使用する場合)
6. 食品衛生責任者の資格証明
*飲食店を開業するにあたっては、各店に必ず1人は食品衛生責任者が必要です。食品衛生責任者は、食品衛生協会が行う講習を受講することでその資格が得られます。
c. 施設の確認検査
保健所が開業前の店舗を検査し、開業のための規定を満たしているか確認します。
d. 営業許可証交付
許可証が交付されるまで、検査通過後に数日~10日程度かかります。
e. 営業開始
店舗が完成してすぐに検査を受けられるよう、工事が終わる10日ほど前に申請書類を保健所に出すのが一般的です。メニューや販売方法、店舗自体について考えることも大切ですが、こうした基準をクリアすることも重要ですので、同時進行で進めていくのが一般的です。
織田調理師専門学校でも卒業生の多くが、飲食店やレストラン等で一定期間働いた後、独立して自分の店を開業しています。
調理師は自分の腕次第で食べていける実力主義の世界。
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