割烹料理の歴史と特徴

割烹料理の歴史を知ると当時の暮らしもわかる?

見た目にも美しく栄養バランスにも優れている割烹料理。日本の長い歴史が育んできた料理様式は、まさに芸術的です。そして、その歴史をたどっていくと、時代ごとの世相や当時の人々の価値観が浮かび上がってきます。ここでは、割烹料理の歴史や特徴をご紹介します。

そもそも割烹料理とは?

まず、そもそも「割烹料理」とはなんでしょうか?その意味から確認してみましょう。

「割烹」とは、日本の伝統的な調理を指した言葉です。「割」は包丁で素材を切ることを表し、「烹」は煮炊きを表しています。これらをあわせた熟語が「割烹」です。 割烹という調理方法を用いた料理を、一般的には日本料理と呼んでいます。

「ご飯とおかず」のスタイルが形成

かつては狩猟により食料を調達していた日本ですが、紀元前400年頃(弥生時代)には稲作が全国に広がり、米を主食とした「ご飯とおかず」というスタイルが形成されています。 おかずには魚介類、鳥獣の肉や山菜などさまざまなものが用いられ、魚についてはこの頃すでに刺し身で食べる習慣がありました。 その後、時代の進展とともに古代国家において権力者の座にある者とそうでない者との間に、食についても格差が生じるようになります。

肉食禁止から発展した日本スタイル

675年に天武天皇が「肉食禁止令」を発布しました。これは「動物の肉を食すると稲作が上手くいかない」という思想に由来するものとされています。 以降、米のために肉を否定し、肉は穢れたものとされました。それゆえ動物性タンパク質を摂るための魚が重宝され、「米と魚」の食文化が発展したのです。鮨などはその典型といえるでしょう。 同時に、古代国家では穀醤(穀類を原料とする発酵調味料。味噌や醤油。)を主たる調味料とする、現代に近い食事スタイルが形成されつつありました。

さまざまな食事様式

奈良・平安時代には、貴族により「大饗料理」という食事様式が確立されました。これは切って並べられた生物や干物を、塩や酢、醤などを自分で調合したものに浸けて食べる形式です。

鎌倉時代になると暮らしのあらゆる側面で質素倹約が重視され、そこから生まれたのが「精進料理」です。本来は仏教の戒律に従った料理であり、調理をするのも僧侶でした。 肉を使わないようにするため、植物性の食材で肉のような味を出す努力がなされたことが、料理の技術を大きく向上させました。

室町時代には「本膳料理」が発祥しました。これは日本で最も格式の高い料理とされ、武家社会においてはその豪華さを競うような料理形式でもあったのです。

安土桃山時代に入ると、茶道とともに「懐石料理」が発展しました。一汁三菜を基本とし、一度に供される本膳料理と違って調理された品がその都度運ばれるものです。 また、懐石料理では料理にメッセージが込められています。今日でも割烹料理では「祝い」「祈り」「季節感」などさまざまな意図が料理そのもの、器などを通じて表現されていますが、その原点が懐石料理に見られるのです。

懐石料理と同じ読みの「会席料理」は、江戸時代に登場した「料亭」で出された宴会料理を指します。 いわゆるグルメブームのような状況などを経ながら、江戸時代末期には料理法、料理の種類、食材、味付け、料理人、料理屋など、現代の割烹料理に通じる要素が確立しました。

割烹料理の特徴

日本は多彩な自然の食材に恵まれています。これらを用いた一汁三菜を基本とし、米中心の栄養バランスに優れた料理が割烹料理です。 多様かつ新鮮な食材を扱い、素材そのものの良さを活かした調理をおこないます。また、料理は自然の美しさや移ろう季節を表現し、正月などの年中行事とも密接に関わるのです。

割烹料理は長い歴史の中で育まれ、私たち日本人が持つ本来の精神性が表現されています。

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カテゴリ:コラム

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